「僕、オーラないから…」そう笑った羽生結弦


東京屋食堂の店員らと一緒に記念撮影する羽生選手(後列左から2人目)と渋谷さん(手前左、2014年6月)=渋谷さん提供
羽生選手が食べた石巻五目焼きそば
東日本大震災で津波に襲われた宮城県石巻市の食堂は、羽生結弦選手(23)が来店したのが縁で国内外のファンが続々と店を訪れるようになった。
感謝の気持ちを込め、エールを送っている。
石巻市のご当地グルメ、もちもちした蒸し麺が特徴の「石巻焼きそば」。
同市双葉町にある1952年創業の「東京屋食堂」2代目の渋谷明彦さん(57)は、両親の代からその味を受け継いできた。
2011年3月11日、震災の津波で、10年前に建て替えた店舗兼自宅を失った。
避難しようとした渋谷さんも車ごと約300メートル流された。
無事だったが、店と家を失った。
渋谷さんは11年秋になってようやく、貸店舗で営業を再開した。
羽生選手が食堂を訪れたのは、14年6月。
ソチ五輪で金メダルに輝いてから約4か月後だった。
黒縁眼鏡をかけたTシャツ姿の若者をよく見ると、どこかで見た顔だった。
「もしかして、羽生君?」。
渋谷さんがそう尋ねると、こくりとうなずいた。
「僕、オーラがないから、全然気付きませんでしたか」。
羽生選手はそう笑ったという。
ちょうど昼食の時間帯で、約40席の店内は満席状態。
羽生選手は、たちまち客からサイン攻めにあった。
握手や記念撮影も求められたが、嫌な顔もせず、一人一人に丁寧に応対した。
渋谷さんが「こんな紙しかなくて申し訳ないけど……」と紙を差し出すと、「石巻やきそばおいしかったです!!」とサイン入りでつづってくれた。
羽生選手が注文したのは、野菜や豚肉などの具材がたっぷりとのった750円の「石巻五目焼きそば」。
残さずきれいに平らげてくれた。
「石巻の名物を食べてくれてうれしかった。
復興の役に立ちたいと心から思ってくれているようだった」。
渋谷さんは、そう振り返る。
その後、羽生選手が東京屋食堂を訪れたという情報は、インターネットなどで瞬く間に広まった。
15年頃から、北海道、兵庫、東京など全国各地の羽生ファンが来店するようになった。
「ネットで見たんですよ」と、羽生選手と同じ五目焼きそばを注文した。
中国や韓国など海外の女性ファンが、スマホを見ながら探してやって来たこともある。
渋谷さんは「たくさんの人に被災地に興味を持ってもらえるきっかけにもなっている」と感謝する。
けがをしていた羽生選手は今月13日の公式練習で4回転ジャンプを見せた。
渋谷さんは、元気そうな姿にほっとした。
「羽生選手は被災地の希望。
また来てくれたら、石巻焼きそばでねぎらってあげたい」。
渋谷さんは再会の日を楽しみにしている。
2018年02月17日
00時48分
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